ビールには数多くの種類(スタイル)があります。その種類と製法など、自分の覚書のためにも記述します。
ビールは大きく分けて2種類 ラガーとエール
あまりビールのことを詳しくない人でも多分聞いたことがあると思います。ラガーとエール。ビールは大きく分けてこの2種類に分かれます。この大きなカテゴリは発酵の仕方の違いと言うことになります。
ラガー -Lager- 下面発酵
ラガーとは下面発酵で作られたビールです。下面発酵とは低温長期発酵、酵母が麦汁の下の方へ沈んでいくので「下面」と呼ばれています。雑菌が繁殖しにくいため大量生産向き?
ラガーに分類されるビールは、ピルスナー、シュバルツなど。いわゆる一般的なビールというのがこのピルスナーです。大手ビール会社の大手ビールはほぼこのビアスタイルだそうです。
エール -Ale- 上面発酵
下面発酵とは逆で高温で短時間で発酵させる方法です。酵母は麦汁の上に浮かんできます。わかりやすいですね。クラフトビールは圧倒的にこちらのエールが多いように思います。
エールに分類されるスタイルはペールエール、IPA、ヴァイツェン、スタウトなど。クラフトビール好きにとってはお馴染みのラインナップですね。
自然発酵
ビールの種類は大きく分けて2つと書きましたが、実はもうひとつあります。それが自然発酵。上面発酵・下面発酵共に麦芽を煮てできた麦芽ジュースに培養した酵母を入れて発酵させますが、自然発酵はその名の通り自然に発酵させます。出来上がった麦汁を涼しいところに放置して自然界にいる野生の酵母たちが飛び込んでくれるのを待ちます。日本でもいわて蔵ビールのナチュラルビールなど、多くはありませんが作られています。
100種類以上あるビアスタイル
ビールのスタイルの分類です。クラフトビールは各醸造所、いえ、むしろブルワーさんお一人お一人のこだわりや夢などが詰め込まれていると思うので造る数だけスタイルがある、とも思っていますがそれを全て書くとキリがなくなるのでまずは大まかに。
ペールエール -PaleAle-
ペール(淡い)エール(酵母)の名の通り、淡い色のホップやモルトの香りが豊かなビールです。そしてペールエールの中でもモルトのコクのイングリッシュペールエールとホップの香りが豊かなアメリカンペールエールに分かれます。
IPA
インディアンペールエールの略。多分今現在クラフトビールの中で一番人気なのではないでしょうか。ブルワリーのストアで販売されてもあっという間に売れ切れてしまうものも…中には秒で売り切れるものも。
元々はインドにペールエールを輸送する際、防腐剤がわりにホップを大量に使ったのが始まりだそうです。でもこのIPAが爆発的に人気なったのはNE IPA(ニューイングランドインディアンペールエール)の誕生からでしょう。アメリカニューイングランドから爆発的に世界に広がった、とあります。白濁していて苦味が少なく、というより苦味よりもホップのトロピカルやシトラスの香りが苦味に勝っているという感じでしょうか。アルコール度は高めのものが多いですが(中には10%のものも)それも感じさせない飲み口です。そこから今ではHazyIPA、westcoastIPA、ホップの量もSingle、double、triple、フルーツ系のjuicyなどなど様々なIPAが誕生しています。みんなどれだけIPAが好きなのかよくわかりますね。
ヴァイツェン -Weizen-
ドイツ語で小麦のことをヴァイツェン(weizen)と言います。ドイツで作られたビールです。他のビールが大麦を使っているのに対し、ヴァイツェンは小麦を50%以上使っています。酵母によるバナナのような香り(ようなと書いていますがバナナそのもの香りに感じられるものもあります。)苦味は少なくほとんど感じないと言って良いくらいのビールです。ガツンとしたIPAとは対照的ですね。甘味が強いものもあるので多分ビールが苦手な方もゴクゴク飲めてしまうかも。
酵母を濾過していないものがヘーフェヴァイツェン、濾過したものがクリスタルヴァイツェン、苦味は弱いもののアルコール度数は高めのヴァイツェンボックなどがあります。
スタウト・ポーター(黒ビール)-Stout/Poter
黒くなるまでローストした大麦を使用したビール。いわゆる黒ビール。スタウトも種類が多くドライ、スウィート、インペリアルそしてオイスター(牡蠣)等々。カカオやコーヒーの香りのするものはアフォガードのようにアイスにかけて食べることも。
黒ビールのスタイルはポーター、スタウト、シュバルツ(下面発酵)、デュンケル(スタイルにより発酵の仕方は異なる)の4つに大きく分けられます。ポーターとスタウトですが、ポーターの方が歴史は古く、余ってしまったビールを新しいビールと混ぜてできたものが起源だそうです。大人気となったポーターを周りのブルワリーさんたちも作ろうとしますがなかなかうまく行きません。そんな中、黒ビールと言えばギネス、そのギネス社がポーターを研究して製品としたのが「スタウトポーター」です。スタウトは強いという意味だそうでアルコール度数も大麦の焦げた香りも強いのが特徴です。
ケルシュ -Kölsch-
ドイツのケルン地方発祥のビールスタイル。ケルン地方以外で醸造されたものは「ケルシュ風」スタイルとなります。
アルコール度数は5%前後、ビールの苦味を表すIBUは20〜30程度。苦味はさほどなく(苦い系のIPAなどはIBU80とかもあります)どちらかと言えば軽い飲みやすいイメージです。
ピルスナー -Pilsner-
チェコのピルゼン発祥。下面発酵で醸造した黄金色のビール。世界中で一番飲まれているビールといっても過言ではないでしょう。日本でも大手のビールのほとんどがこのピルスナーだそうで、一番馴染みのあるビールですね。
ヘレス -Helles-
ドイツのバイエルン州、バーデン=ヴュルテンベルク州発祥のビールスタイル。透明で美しい金色のビールで、ホップよりも麦芽の香りが強いのが特徴です。ヘレスはドイツ語で「明るい」という意味だそうで、その名の通りビールの色も明るい黄金色です。チェコからドイツへピルスナーが入ってきて一気に人気に。それに焦ったドイツミュンヘンが対抗して造った黄金色のビールがヘレスです。
ベルジャンホワイト -Belgian White-
ベルギー発祥の小麦で造られたホワイトビール。ビールは通常麦のもやし、麦芽を使用しますがベルジャンホワイトは小麦を使ったものになります。特徴は小麦、コリアンダーとオレンジビール。優しいビールという印象でしょうか。
セゾン
ベルギーのワロン地方発祥、元々は夏だけのビールだったそうです。夏の農作業の間に飲むために農閑期に仕込んでいたそうです。夏の農作業の合間に喉を潤すためのビールですから飲み口が軽めです。こちらも昨今のクラフトビール旋風で脚光を浴びたスタイル。特徴的なアロマはピーチ、グレープフルーツ、ライム、ホワイトペッパーのようなフルーティであり且つスパイシーな香りです。
クラフトビールに想いを馳せて
ビールの種類スタイルを全て書き出そうなんて思ったら本当に大変なことになると今思っています。大まかですが自分の覚書として。ただスタイルが大まかであってもわかってくるとビールを飲むのがますます楽しくなってきます。ビアフライトなど飲み比べはほとんどのビアバーでできますしね。どんなふうに作られて今このグラスに注がれているのか、そんなこと考えながら飲むのもクラフトビールの醍醐味です。