【秋葉原】電気街の隙間に、かつての艶姿。「講武稲荷」で感じる、江戸の粋と静寂。

【秋葉原】電気街の隙間に、かつての艶姿。「講武稲荷」で感じる、江戸の粋と静寂。

メイドさんの元気な呼び込み、響き渡る様々な音。 世界中から人が集まるアキバの熱気は、いつ訪れても圧倒されるものがあります。

そんな電気街のど真ん中に、まるで時が止まったようなエアポケットのような場所があるのをご存知でしょうか。

講武稲荷神社

ビルの谷間、路地の奥。 今日ご紹介するのは、かつてこの地を彩った芸者衆が愛した隠れ家のようなお社、「講武(こうぶ)稲荷神社」です。

武骨な名前と、艶やかな秘密

「講武(こうぶ)」という響き、少し強そうですよね。 それもそのはず、神社の名前は、幕末にこの地に設けられた幕府の武芸訓練所「講武所」に由来します。本来なら、剣術や砲術の掛け声が響く、武骨な男たちの場所でした。 けれど、歴史というのは面白いものです。

「稽古の帰りに、ちょっと一杯」 そんな侍たちを目当てに、講武所の周りには次第に料理屋や茶屋が並び始めました。いつしかそこは、厳しい訓練の場から、三味線の音が響く華やかな「花街」へと姿を変えていったのです。

講武所芸者の守り神

明治に入ると、この界隈は「講武所花街」として本格的に栄えました。 ここで働く芸者さんたちは「講武所芸者」と呼ばれ、辰巳芸者(深川)にも負けない、キリッとした「粋」な女性たちが多かったそうです。

今の講武稲荷神社がある場所は、そんな彼女たちが、お座敷に向かう前にそっと手を合わせた場所かもしれません。「今日もいいお客様に恵まれますように」 「火事が出ませんように」おしろいの香りと共に、そんな切実でささやかな願いを受け止めてきたお稲荷様なのです。

まるでビルの外階段?都会の隠れ里へ

現在のお社は、昭和の変遷を経て、なんとビルの2階部分のような不思議な場所に鎮座しています。

通りから一歩路地に入ると、そこはもう別世界。 朱色の幟(のぼり)に導かれるように細い階段を上がると、秋葉原のノイズが嘘のように遠のきます。

こぢんまりとした境内ですが、手入れが行き届いており、地元の方々に大切にされていることが伝わってきます。お供えされたお酒や油揚げを見ていると、花街が消えた今も、この場所が「商売」と「人」を温かく見守り続けていることを感じます。

現代の戦士たちへ

講武稲荷神社狐塚

かつては刀を置いた侍たちが、そして艶やかな芸者衆が羽を休めた場所。 今は、仕事に奔走するビジネスマンや、推し活に燃える現代の戦士たちが、ふと足を止める場所になっています。

秋葉原へお出かけの際は、ぜひ地図を頼りに探してみてください。 ビルの隙間からこぼれる木漏れ日の中で、江戸の「粋」と、優しい静寂があなたを待っていますよ。

講武稲荷神社概要

  • 名称 講武稲荷神社(こうぶいなりじんじゃ)
  • ご祭神 宇迦之御魂命(うかのみたまのみこと)
  • ご利益 商売繁盛・火伏

講武稲荷神社アクセス

  • 住所:東京都千代田区外神田1-9-2
  • 最寄駅:秋葉原駅(JR・日比谷線・つくばエクスプレス)電気街口より徒歩約5分
  • 備考:社務所はありません。