今日は、東京の下町情緒あふれる人形町で見つけた、ちょっと不思議で、でもとても心温まるお寺をご紹介したいと思います。

人形町駅から歩いてすぐ。賑やかな通りから少し路地に入ったところに、ひっそりと佇む「大観音寺(おおがんのんじ)」をご存知でしょうか?こぢんまりとした境内ですが、ここには他ではちょっと見られない、珍しいご本尊がいらっしゃるんです。
驚き!ご本尊は「お顔だけ」の鉄の観音様

お寺の名前にもなっている「大観音」さま。 実は、お体はなく、巨大な「お顔(頭部)」だけがお祀りされているんです。しかも、その素材はなんと「鉄」。 高さは約1.7メートル、お顔の幅だけでも54センチ。黒光りする鉄のお顔は、力強さと同時に、全てを見透かすような静かな迫力があります。
なぜお顔だけなのか? そこには、まるでドラマのような長い長い旅の物語がありました。
井戸から現れ、人形町へ
言い伝えによると、この観音様はもともと鎌倉時代、北条政子が創建したお寺のご本尊だったそうです。 しかし火災でお寺が崩れ、頭部だけが井戸の中に埋もれてしまいました。(鎌倉には今も「鉄ノ井」という井戸が残っているそうです)。
その後、井戸から掘り出されたものの、明治時代の廃仏毀釈(仏教を排斥しようとする動き)の混乱で捨てられそうになり…。 それを見かねた人々の手によって東京へと運ばれ、最終的にここ人形町の地に安住されたのだとか。
数え切れない苦難を乗り越えて、今は人形町の人々を優しく見守ってくれているんですね。
「平成の不思議」震災の日のエピソード
この観音様には、もう一つ、忘れられないエピソードがあります。
2011年3月11日、東日本大震災が起きた時のこと。 それまで正面を向いていたはずの観音様が、地震の直後、なぜか「東」の方角を向いていたというのです。
東といえば、東北の被災地の方角です。 お寺の方も大変驚かれたそうですが、「観音様が被災地を案じて、そちらを向かれたに違いない」と考え、あえてすぐには向きを直さなかったそうです。
鉄の重たいお像が動くなんて、科学的には不思議な話ですが、「苦しむ人を見捨てない」という観音様の慈悲の心を感じずにはいられません。
お参りするなら「11日」か「17日」に
普段、この鉄造観音様は「秘仏」として扉の奥にいらっしゃるため、お顔を拝見することはできません。
でも、毎月11日と17日のご縁日にはご開帳され、そのお姿を直接拝むことができます。 (※震災のエピソードにちなんで、毎月11日もご開帳日になったそうです)
もしタイミングが合えば、ぜひこの日に合わせて訪れてみてください。

境内には、足の神様として有名な「韋駄天(イダテン)」様が祀られていて、マラソンランナーやスポーツをする方にも人気があるんですよ。また白狐に乗った荼枳尼天(ダキニテン)様も祀られています。

美味しい人形焼やたい焼きを食べ歩きながら、路地裏の優しい観音様に会いに行ってみませんか?

こちらのたい焼きは大観音寺お参り後に購入の鳴門鯛焼本舗 人形町店さんのたい焼き。ついカスタードに手が伸びてしまいますが、次はあんこと鳴門金時の王道で行ってみたいと思います。あったかい(と言うか熱々)のたい焼き、大変美味でございました。
大観音寺概要
- 名称 大観音寺
- 宗派 聖観音宗(浅草寺の末寺にあたります)
- ご本尊 聖観世音菩薩(鉄造菩薩頭)
- ご利益 学業成就・合格祈願、首から上の病気平癒、足腰の健康やマラソン・スポーツの記録向上
- ご開帳日 毎月11日、17日(変更になる場合もあるため、事前にご確認ください)
※東京都指定有形文化財
大観音寺アクセス
東京都中央区日本橋人形町1-18-9
都営浅草線人形町駅A2出口 徒歩約2分
