きらびやかなビル群と、絶え間なく行き交う人々。そんな渋谷の街を歩いていると、ふと木々のざわめきに誘われる瞬間があります。

明治通りを少し入った先に現れる「金王八幡宮」は、かつてこの地を治めた渋谷氏の居城、渋谷城の跡地。コンクリートのジャングルの中で、ここだけが凛とした清浄な空気に満たされています。
目次
母のような慈愛と勝負強さ。御祭神「八幡様」のご利益
金王八幡宮にお祀りされているのは、応神天皇(おうじんてんのう)、またの名を「八幡様」です。
八幡様は古くから文武の神様として崇められ、源氏の氏神としても知られてきました。そのご利益は幅広く、厄除けや家内安全はもちろんのこと、ここ一番という時の「勝負運」を授けてくださることで有名です。
また、応神天皇を育て上げた母・神功皇后との深い絆の伝説から、子授けや安産、教育の神様としても厚い信仰を集めています。強さと優しさをあわせ持つ八幡様は、現代を生きる私たちの悩みも大きな懐で受け止めてくれることでしょう。
伝説の武将「金王丸」が宿す、道を切り拓く力

神社の名に冠された「金王(こんのう)」とは、平安末期を駆け抜けた若き武将、渋谷金王丸常光(しぶやこんのうまるつねみつ)の名から取られたもの。
金王丸は、源義朝に仕え、その勇猛果敢な生き様は「平治物語」などの軍記物語にも刻まれています。彼が深く信仰したこの地は、現在では「逆境を跳ね除け、成功を掴み取る」ためのパワースポットとして、多くのビジネスパーソンや起業家たちが静かに祈りを捧げる場所となりました。
必見スポットは金王丸御影堂

境内には金王丸の木像を安置する「金王丸御影堂」があります。通常、扉は閉まっていますが、毎年3月の例祭(金王丸祭)の時期には特別公開されることも。彼の力強いパワーにあやかりたい方は必見です。
一つの枝に二つの顔。幻の「金王桜」に心を寄せて

金王八幡宮を語る上で欠かせないのが、都指定天然記念物の「金王桜」です。
この桜の何よりの魅力は、一つの枝に「一重」と「八重」の花が同時に咲き乱れるという、非常に珍しい性質にあります。源頼朝が、平家追討に尽力した金王丸の忠節を惜しみ、自ら植えたと伝えられるこの桜。
春、淡いピンクに染まる境内でその可憐な姿を見上げれば、時代を超えて受け継がれてきた「真心」が、現代を生きる私たちの心も優しく解きほぐしてくれます。
境内を巡り、心と運気を整える
本殿でお参りを済ませたら、ぜひその奥へと歩みを進めてみてください。
・玉造稲荷神社 どこか懐かしさを感じる赤い鳥居の先には、商売繁盛と衣食住を司る神様が待っています。日々の暮らしの豊かさを感謝するのにぴったりの場所です。
・御嶽神社 火防や盗難除けの守護神として知られる御嶽神社。災厄を退け、大切なものを守り抜くパワーを授けていただけます。
参拝の記憶を刻む、美しい御朱印

参拝の締めくくりには、社務所で御朱印をいただきましょう。 金王八幡宮の御朱印は、シンプルながらも背筋が伸びるような潔い筆致が魅力です。
季節によっては、金王桜をあしらった期間限定のものや、隣接する豊栄稲荷神社の御朱印をあわせていただけることもあります。手元に残る御影(みかげ)は、日常に戻ったあともあなたを守るお守りとなってくれるでしょう。
ワンポイント!隣接する豊栄稲荷神社もあわせて参拝するのがおすすめです。金王八幡宮の社務所で両方の御朱印をいただけます。
おわりに:渋谷の「静」に触れる贅沢
忙しなく動く渋谷の街で、自分を見つめ直し、静かに祈る時間。それは、何よりも贅沢なセルフケアかもしれません。
次の休日は、少しだけ歩調を緩めて金王八幡宮を訪ねてみませんか? 一歩境内を出るときには、きっといつもより少しだけ、足取りが軽くなっているはずです。
金王八幡宮アクセス
東京都渋谷区渋谷3-5-12
JR渋谷駅 東口・新南口から徒歩約5分
