かつてあった築地市場の海幸橋門付近に鎮座する波除神社。築地場外市場をまっすぐ行った先に鎮座しています。築地市場をずっと見守ってきた波除神社を訪ねてみました。
江戸の埋め立て事業と共にある歴史 隅田川の氾濫と埋め立て事業
東京・築地市場のほど近くに位置する波除神社。その由緒は、江戸時代の埋め立て事業と深く関わっています。かつて一面の海だったこの辺り、江戸時代に埋め立て工事が始まりました。
埋め立て事業の難航と稲荷大神の出現
しかし、埋め立て事業は難航を極めました。激しい波浪によって築いた堤防が何度も壊され、工事は一向に進みません。そんな中、ある夜、海面に光り輝くものが出現しました。人々が船を出して近づいてみると、それは立派な稲荷大神の御神体でした。
人々はこの御神体を「波除稲荷」として祀り、工事の安全と成功を祈願しました。すると、不思議なことに波が静まり、工事は順調に進み始めました。そして、ついに埋め立て事業は成功を収め、築地という新たな土地が誕生しました。
波除稲荷から波除神社へ
その後、波除稲荷は地元の人々から厚い信仰を集め、築地の守り神として崇められるようになりました。明治時代に入ると、神仏分離令により「波除神社」と改称され、現在に至ります。
波除神社の御祭神とご利益
御祭神は倉稲魂命(うかのみたまのみこと)。ご利益は、海で見つかった光を放つ御神体を「稲荷大神」として祀ると工事が順調に進んだことから「災難を除き、波を乗り切る」厄除け・災難除け・商売繁盛・工事安全などがあります。築地の繁栄をみるとそのご利益がどれだけ強力なのか、わかりますね。
大迫力の厄除天井大獅子と摂社弁財天のお歯黒獅子
鳥居をくぐってまず目に入るのは巨大な獅子頭。こちらが厄除天井大獅子。
いや、これはすごい迫力。大きな鼻の穴から吹き出しそうな鼻息に飛ばされそうです笑
厄除天井大獅子の横には「願い串」があり、それに名前や願い事を書き、大獅子に食べてもらうと願いことが叶うというもの。
大獅子頭の周りはグルっと回れるようになっています。獅子頭の後頭部に備え付けてある籠に願い串を納めましょう。以前は歯の間から舌の上に納めていたようですが、歯が傷んでしまうとのことで、後頭部の籠へ。ちなみに丸く空いてる穴が獅子頭の鼻の穴です。
そしてこちらが境内左手に弁財天に安置されているお歯黒獅子。
お歯黒獅子は大獅子より少し小さめですが赤と歯の黒の対象がとてもきれいです。
お歯黒獅子が収められているのは弁財天社、御祭神は市杵島姫命(イチキシマヒメノミコト)です。紅色の地肌にお歯黒を施し金箔押しの巻き髪で腰高のお姿は雌をあらわしているそうで、この頭の上の宝珠の中に市杵島姫命の御神像が収められているそうです。市杵島姫命は学芸の才能と豊かな財を成す福徳の女神様です。
6月に行われるつきじ獅子祭ではこの獅子頭が担がれます。大迫力でしょうね。
もうひとつの見どころは築地ならではの塚
築地市場とのゆかりの深い波除神社、様々な食材に感謝の意を表すための塚が複数建立されています。これらの塚は、単なる供養塔ではなく、食材への感謝と尊敬の念を示す、日本人の食文化と深く結びついた存在です。
そして誰もが知っている見覚えのあるあのロゴ。吉野家の石碑。吉野家の創業1号店は築地市場であったというのは有名なお話ですね。
波除神社御朱印
こちらが波除神社の御朱印。500円です。季節ごとの御朱印など様々ありますが、切り絵の御朱印を除き、基本的にすべて500円でした。
最後に
波除神社は、築地市場の移転と共にその歴史を歩んできました。かつては、市場で働く人々が毎日のように参拝し、商売繁盛や安全を祈願していたそうです。築地市場が豊洲に移転した現在でも、市場関係者からの信仰は厚いそうです。
東京の大観光地築地場外市場。築地市場が移転した今でも築地を見守ってくださっていることと思います。築地場外市場に訪れた際はぜひ波除神社にも足を運んでみてください。歴史ある神社の雰囲気を感じながら、心願成就を祈願してみてはいかがでしょうか。きっと、あなたにパワーを与えてくれるはずです。
波除神社 アクセス
〒104-0045 東京都中央区築地 6-20-37
- 東京メトロ日比谷線「築地駅」徒歩7分
- 都営地下鉄大江戸線「築地市場駅」徒歩5分
- 都バス「築地6丁目」徒歩3分
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