東京都墨田区千歳に鎮座する江島杉山神社は、鍼の管鍼法の創始者である杉山和一総検校を祀っていることで知られています。幼い頃に失明をした杉山和一、その功績を辿ってみようと思います。
江島杉山神社御由緒

江島杉山神社は、元禄6年(1693年)に創建されました。鍼の管鍼法の創始者である杉山和一は、若い頃に失明しましたが、鍼術を志し、江ノ島の岩窟で断食祈願を行いました。
「満願の前夜、大きな石につまづき倒れてしまう杉山、何か足に刺さる物があり手に取ってみると筒状になった椎の葉に松葉が包まっていました。
いくら細い鍼でも管に入れて使えば、盲人の私でも容易く打つことができる!
こうして現代の鍼術の主流となっている「管鍼術」を授かったとのことです。」
その後、杉山和一は江戸幕府5代将軍徳川綱吉の病気を治した功により、本所一ツ目(現在の一の橋通り辺り)の土地を与えられました。その土地に、杉山和一は自邸と、世界初の視覚障害者教育施設である「杉山流鍼治導引稽古所」を開設しました。
年老いてもなお江ノ島への月参りを欠かさない杉山和一の身を案じ、江ノ島弁財天を勧請して祀ることを許され、本所一ツ目弁財天として庶民の信仰を集めたそうです。
御祭神は市杵島比売命(いちきしまひめのみこと)(弁財天)、杉山和一総検校です。
ご利益は医術向上、眼病平癒、学業成就です。
修業した江ノ島の岩窟を模して造られた岩屋
拝殿横に岩窟に続く小道があります。「いわやみちの碑」の向こうに見えてきました。

岩屋の中、真正面に杉山和一総検校の像が見えます。

内部はT 字路のようになっており、右側に宗像三女神像、左側に人頭蛇尾の姿をした宇賀神像が祀られています。


それぞれの前には小さな白蛇の形代がたくさん並んでいます。白蛇は弁天様のお使いと言われています。弁財天と宇賀神を一緒に祀ればご利益倍増するとされるとか?

それにしても小さい白蛇可愛いです。
銭洗いと美玉洗い
境内には弁天池があり、その畔に銭洗いと美玉洗いがあります。銭洗いは有名ですが、美玉洗いとは?
まず社務所で美玉石を授与していただきます。「弁天様のご神徳は美と生命力であり、美しいものに例えらえる玉を洗い清め。心身の美しさに一層磨きがかかるよう願う御守です。境内の美玉洗いにて勾玉を洗い清め、お守りとしてお持ちください」とあります。

授与していただいた美玉石を清めます。きれいな色の勾玉ときれいな袋付き。なんか透明感あっていいですね。早速バッグに納めました。
清々しい境内

境内は、岩屋、弁天池、銭洗い、美玉洗いなどの他にも、世界に一つだけの点字石碑、創祀年月日、境内社の名の由来ともに不明の杉多神社など見どころはたくさんです。


特に岩屋は必見。ミステリアスで不思議な空気に包まれる岩屋内部、ぜひその空気感を体験してみてください。
御朱印とまとめ

御朱印は書置きです。江島杉山神社と弁財天様の御朱印。江島杉山神社は巳年の限定御朱印です。
鍼灸に関わる人々は勿論、その他多くの人が訪れており、特に眼病にご利益がある神社として有名です。視覚障がい者の地位の向上に貢献した杉山和一総検校、その努力、そして信仰心には並々ならぬものがあったと想像します。
両国駅から徒歩7分程度、帰りにはおいしいちゃんこ鍋でも食べながら、両国散歩、いかがでしょうか。
江島杉山神社 アクセス
〒130-0025 東京都墨田区千歳1-8-2
- JR総武線「両国駅」西口より徒歩約7分
- 都営大江戸線「両国駅」A4出口より徒歩約12分
- 都営新宿線「森下駅」A5出口より徒歩約12分
- 墨田区内循環バスすみだ百景 すみまるくん・すみりんちゃん「江島杉山神社入口」下車、徒歩約3分
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