今回は、今日は心がふんわり軽くなるような、素敵な場所をご紹介します。それは東京都台東区に鎮座する「蔵前神社」。ビルやおしゃれなカフェが立ち並ぶ街角に静かにたたずんでいます。
一歩足を踏み入れると、都会の喧騒がすうっと遠のいて、穏やかな時間が流れ始めるのを感じるはずです。春には境内が黄色とピンクで染められる癒しの空間なのです。
優しい物語が息づく場所

蔵前神社の歴史は江戸時代まで遡ります。もともとは江戸城を守るために、京都の石清水八幡宮から神様をお迎えしたのが始まりだそうです。近くにお米を納める大きな蔵があったことから、「蔵前」の名前がついたとか。なんだか、昔の人々の暮らしや息づかいが、聞こえてくるような気がします。
神社仏閣、すべてに言えることですが、長い年月、この街を見守り続けてきた場所なんですね。そして当時の人たちから現代の人まで、心の拠り所となっている優しい場所です。
私たちをそっと見守る神様たち
蔵前神社にいらっしゃるのは、誉田別天皇(ほんだわけのすめらみこと)さま、神功皇后(じんぐうこうごう)さま、そして倉稲魂命(うかのみたまのみこと)さまや菅原道真公(すがわらのみちざねこう)さまなど、たくさんの神様たち。
昔から、勝負事や厄除け、家族みんなの幸せ、お仕事のこと、そして学業のことまで、私たちのいろいろな願いを、大きな心で受け止め、応援してくださると言われています。 「いつも見守っていてくれてありがとう」 そんな感謝の気持ちを伝えたくなるような、安心感に包まれる空間です。
春の訪れを告げる、幸せの黄色いミモザ

例年2月下旬から3月中旬頃に境内を鮮やかな黄色に染めるミモザは、蔵前神社の春の風物詩です。ミモザは小さいふわっふわのまあるい黄色いお花が枝にびっしりと咲きます。まるで黄色の小さな綿毛のよう。
そして蔵前神社のもう一つの見どころ、それはこのミモザが咲く頃に合わせて早咲きの桜も満開になります。黄色とピンクのコレボレーションは、まだまだ寒い3月でも一気に春が来たような。境内がパーッと明るくなるのを感じます。思わず顔がほころんでしまいます。
ただ、このミモザが咲いているシーズンは、美しさ可愛さを写真に収めようと多くの参拝者が集まりますので、余裕を持ってお出かけすることをお勧めします。
もう一つの見どころは古典落語ゆかりの地

境内には元犬と書かれた犬の像があります。元犬は古典落語の演目のひとつです。「白犬は人間に近く、信心すれば来世には人間に生まれ変われる」と聞いた白犬が、何とか今世で人間になりたいと一心不乱に祈った結果、見事人間になることができました。が、奉公先でつい元の犬の癖が出てしまい、珍騒動を巻き起こす、と言う内容です。
像では意外と凛々しく立っていますが、お話の内容を知るとクスっとしてしまいますね。
蔵前神社御朱印

対応してくださった宮司さんの奥様の雰囲気がとても柔らかくて、待っている間もとても心のよい時間を過ごさせていただきました。玄関を入らせていただくと、神社猫の「ぽん太」のためのベッドや立派な爪とぎが並んでいました。残念ながら会うことはできませんでしたが。
御朱印は2025年5月より、しばらくの間書置きのみになるそうです。
心やすらぐ、あなたの時間
蔵前神社は、歴史や落語、お相撲との繋がりもあって、知れば知るほど魅力的な場所。でも、難しいことを考えなくても、ただそこにいるだけで、心がすーっと穏やかになっていくのを感じられるはずです。
春は桜とミモザの下で、その他の季節も木々の緑に癒されて心身ともにリセットできる場所だと思います。静かな境内でゆっくりと深呼吸をすれば、きっと優しい神様たちと、穏やかな時間が、あなたの心をふんわりと癒やしてくれるはずです。
蔵前神社アクセス
東京都台東区蔵前3丁目14-11
- 都営地下鉄浅草線「蔵前駅」A4出口より徒歩約2分
- 都営地下鉄大江戸線「蔵前駅」A6出口より徒歩約5分
