静岡県伊豆には源頼朝や北条家ゆかりの地があちらこちらに残っています。源頼朝と北条政子が逢瀬を重ねた熱海市の伊豆山神社、源頼朝が流された伊豆の国市の蛭ヶ小島、23歳で暗殺された頼朝と政子の子である鎌倉幕府二代将軍頼家のために母政子が建てた指月殿など。その中で源頼朝との悲恋に散った八重姫の供養堂があるのが眞珠院です。
頼朝と八重姫の出会い。そして悲しい別れ。
平家に敗れた源頼朝が流されたのが静岡県伊豆の国市韮山の蛭ケ小島。八重姫はその監視役であった伊東祐親の四女。とても美しい女性だったそうです。美しい八重姫と頼朝は恋に落ち、伊東祐親が京の大番役で留守の間に結ばれ男児千鶴丸をもうけます。京から帰って来た祐親がそれを知った時千鶴丸は3歳。激怒した祐親は頼朝を北条時政の館に追いやり八重姫を部屋に閉じ込め千鶴丸を松川の上流、轟ケ淵に簀巻きにして投げ込んだとあります。一説によると祐親は千鶴丸を密かに逃したともされている様ですが、そうであって欲しい、と今この時代に思います。
それでも頼朝のことが忘れられない八重姫は伊藤の地から6人の侍女を連れ山を越え北条の館に向かいます。そこで八重姫を襲ったもう一つの悲劇は、頼朝はすでに北条の娘政子と結ばれていたと言う残酷な現実。絶望した八重姫は真珠ケ淵に身を沈めてしまいます。共にいた侍女達も田中山で自害したと伝えられています。
八重姫御堂 静堂(やえひめみどう しずかどう)
八重姫が入水した地にある八重姫御堂(静香堂)。堂内正面に八重姫の木像を安置、その下に供養塔が納められているそうです。堂の右手の大木は梛木。この木の葉は横に裂くことができません。誰にも裂くことができない、と言うことで「愛のお守り」とされています。
八重姫御堂の右横にひっそりと奉納されている小さな梯子たち
この小さな梯子は、当時は激流であったとされる真珠ケ淵、せめて梯子があれば身を投げた八重姫を助けることができたかもしれないと言う里人たちの思いが、今日願い事が成就した時にお礼として梯子を供えると言う習慣が残されている、と言うことです。書いていて本当に切なくなってきました。
願いが叶う?願かけ石
堂の左手にあるまあるっこい可愛い石は願かけ石。自分の年の数だけ石を叩き願い事をすると成就する、と古来より伝えられているそうです。叩いてみましたが石なだけあり結構な重さがありますので「自分の年の数」を叩くのは重労働でした。
古川の辺りに佇む真珠院
真珠院は鎌倉時代に真言宗の寺として開創、室町時代に曹洞宗に改宗された寺院静岡県伊豆の国市に鎮座する寺院です。御本尊は釈迦牟尼仏。本堂裏手には磨崖佛や五輪塔などがあります。
真珠ケ淵、現在は古川の辺りに佇むとても美しく静かな環境の真珠院。切なく悲しい歴史に触れて今のこの日本に生きていることに感謝です。
真珠院の御朱印
書いていただいた御朱印は美しくとても上品な御朱印でした。まるで八重姫の様ですね。
静岡県伊豆の国市 真珠院 アクセス
静岡県伊豆の国市中條145-2